実大加力実験工学共同研究講座

講座紹介

 

 

 

都市に林立する超高層建築などの巨大建設物には、それぞれ数千人規模の人々が働き、生活しています。
それらが地震で大きな被害を受けてしまったら・・・。
経済的な損失以上に、尊い人命の被害は何にもかえられない国家的損失となり、
修復や復興には膨大な労力と年月がかかるでしょう。
東北地方太平洋沖地震、熊本地震など、ますます強い地震がおきており、
巨大建設物をより強靭にすることが、都市化が進む日本の課題となっています。

 

つまり、巨大建設物を支えるや、安全性を高めるための免震支承制振ダンパーなどの様々な構造部材は、
今後さらに壊れにくく、かつ揺れを抑える効果をもつように開発していく必要があります。
構造部材には非常に大きなものがあり、何千トンという力と急速な地震の動きに耐えなければならず、
まずその破壊実験を行って安全性(余裕度)を確かめること [1] が、改良を進めるために必要です。

 

 

 

ただし、大きな構造部材には“寸法効果”というものがあり [2]
その縮小模型の実験や現代の解析技術では、安全性を正確に予測できるとは限りません
形状が同じでも、大型になるほど壊れやすいという理論もあり、どのような予測も実物大の実験による確認が必要です。
以上から、海外では実物大の実験を行う施設が次々と建設されていますが [3]、残念ながら日本にはまだありません。

 

そこで、我々、実大加力実験工学共同研究講座(以下、本講座)は、
海外の施設を遥かに超える加力能力と計測精度をもつ実験施設を考案しました [5]
これにより、現代さらに大型化している建築土木の構造部材と建設物の安全・安心の確保、
新たな開発の促進、さらに日本が誇る様々な構造部材の競争力の巻き返しを図ることができます。
船舶機械などの大型部品など、様々な形状の試験体に対しても、
高さ・幅・奥行き方向の力を同時にかつ高速でかける実験ができるため、広い分野に活用できます。

 

現在存在する巨大構造物には超高層建築以外にも、
原子力発電所施設、新幹線網、高速道路網、トンネル、ダム、護岸構造、
堤防、防潮壁、石油基地、化学プラント、送電網、変電所、下水施設などがあります。

 

施設案は、2017年度から日本学術会議の重点大型研究計画として認められています。
また、その予算化・実現を目指す本講座の活動は、科学技術振興機構の2017年度OPERA
(産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム)で採用された5年プロジェクトに含まれています。
指定国立大学として、産業への著しい貢献を推進する東京工業大学が、本講座の活動を強く支持しております。

 

施設案の背景や詳細に関しては、以下を参照ください。

 

[1] 巨大建設物の安全性はどのようにして担保されているのか?
[2] 大型構造部材における“寸法効果”とは?
[3] 海外で次々と建設される大型実験施設および日本の立場
[4] 免震ゴムの性能データ改ざん事件と第三者機関の必要性
[5] 日本に世界最高の大型実験施設を!
[6] 構造部材破壊現象検討研究会での実験計画

 

また、本講座の様々な関連活動に関しては、今後、記述を追加していきます。