[5] 日本に世界最高の大型実験施設を!
本講座が実現を目指す三方向加力実験装置を図5-1に示します。
図5-1
鉛直方向で圧縮12,000トン、引張6,000トン、水平X方向1,200トン、Y方向600トンという、
世界最大の力がかけられます。
また、水平方向の最大速度は、阪神淡路大震災で記録された速度以上です。
建築や土木の大型構造部材のほか、船舶や機械の大型部品など、
高さ7m、幅6.5m、奥行6.5mの大きさ、場合によってはそれ以上の試験体の3方向動的加力実験が可能です(図5-2)。
図5-2
装置のもつ大きな特徴を以下に纏めます。
・世界最高の力(鉛直+水平2方向)と速度
・世界唯一の鉛直引張力
・世界最高にして唯一の長時間載荷能力
・世界最高の載荷力計測精度(海外施設では摩擦力が計測できません)
このように高い性能は、我々が創案した独特な加力システムにより可能になります。
世界最高性能を目標とした背景としては、既存の海外施設でも対応できないほど
大型の構造部材が今後は多くなると思われること、これまでの最大規模施設と同様に
世界が必要とする大規模実験の依頼は自然に集まると予想できることなどが挙げられます。
また、これらにより、本施設と試験機関、研究機関を併せて
大型構造部材の実証・研究の国際拠点を築くことを計画しています。
現状の海外施設でも対応できないケースは様々ありますが、そのうち数例を以下に挙げておきます。
(記載する数値は、建設物の設計や地震特性により異なりますが、十分あり得る値です)
・都市に林立する50階建ほどの超高層建物の柱が大地震時に受ける
圧縮・引張力(それぞれ6,000トン、4,000トン以上)および水平2方向の変位(各方向押し引き15cmほど)(図5-3a)
・超高層建物の大型免震支承が大地震時に受ける圧縮力(10,000トン以上)
および水平2方向の変位(各方向押し引き60cmほど)と速度(各方向押し引き150cm/s)(図5-3b)
・長周期・長時間地震によって300秒以上続く揺れによる繰り返し変形
(累積値は免震支承・ダンパーで40m、制振ダンパーで12m)
・阪神淡路大震災以上に強烈な直下型地震による急激な揺れ
(速度にして免震支承で280cm/s、制振ダンパーで40cm/s)(図5-3c)
図5-3a
図5-3b
図5-3c
関連リンク
[0] 講座紹介
[1] 巨大建設物の安全性はどのようにして担保されているのか?
[2] 大型構造部材における“寸法効果”とは?
[3] 海外で次々と建設される大型実験施設および日本の立場
[4] 免震ゴムの性能データ改ざん事件と第三者機関の必要性
[5] 日本に世界最高の大型実験施設を!
[6] 構造部材破壊現象検討研究会での実験計画