東京工業大学 実大加力実験工学共同研究講座

[2] 大型構造部材における“寸法効果”とは?

 

寸法効果構造物が大きくなればなるほど、材料力学により予想された強度よりも低いレベルで壊れてしまう現象です。
一箇所で発生したき裂が構造部材あるいは構造物全体に波及し、突然に破壊(脆性破壊)するという壊れ方もあり、
よく知られた例として、大型船舶が海上で突然真っ二つに折れるという、1940年代に多発した事故が挙げられます。

 

巨大建設物では、鉄鋼やコンクリートを用いた大型構造部材が用いられ、その寸法効果も明らかにする必要があります。
例えばコンクリートは、セメント、水、骨材(砂利、砂)などからなり、
構造体寸法が大きくても骨材寸法は限られるため、それらの比が一定とはなりません。
また、コンクリート打設後の水分の変化、それに伴う収縮などが、寸法によって異なります。
表面に凹凸をもたせた鉄筋と一緒に打設しますが、その寸法との関係も影響します。

 

 

 

このように様々な要因による寸法効果は、構造部材や材料の種類によって程度が異なり、
それらを普遍的に予測する方法・理論は未だありません。
そのため、海外では理論解による設計だけでは巨大建設物に対する社会的責任の観点から不十分として、
実験研究や技術認定に実物大の試験体を用い、実際に想定される力と速度で確認する方向に向かっています。

 

大きいものほど脆性破壊しやすいという寸法効果については、
構造物の破壊による災害が深刻化してきたこともあり、より研究を進める必要があります。
我々の共同研究講座では、建築の専門家が中心となって、鋼材、コンクリート、免震部材の専門家とともに
構造部材破壊現象検討研究会”を組織して、寸法効果の研究を進めています。
本講座は、この研究会を学識経験者、設計者、ゼネコン、メーカーからなる大きなグループにしていく計画です。

 

 

 

関連リンク

[0] 講座紹介
[1] 巨大建設物の安全性はどのようにして担保されているのか?
[2] 大型構造部材における“寸法効果”とは?
[3] 海外で次々と建設される大型実験施設および日本の立場
[4] 免震ゴムの性能データ改ざん事件と第三者機関の必要性
[5] 日本に世界最高の大型実験施設を!
[6] 構造部材破壊現象検討研究会での実験計画